外国人にウケる”おふくろの味”和食レシピ本
私が英語で主催している外国人旅行者向けの日本家庭料理教室には世界各地からの外国人旅行者や日本に駐在されている方がお客様としていらっしゃっています。これまで3000人以上の方に和食料理教室を提供してきましたが、美味しいと言って下さった料理もあれば、あまりお口に合わなかったように見えた料理もありました。その度に、メニューやレシピに工夫を加え、できるだけ多くの外国人の方に喜んでもらえるような料理教室を心がけてきました。
2015年夏、これらの試行錯誤の経験を元に、教室での評判がよかった、外国人にウケる味だけを厳選し、英語の和食レシピ本「Japanese recipes from Mari’s Tokyo Kitechen」を ぴあ社 から出版頂きました。無形文化遺産として世界的に人気となった和食のなかでも、家庭料理に焦点を絞り、簡単で、おいしい「おふくろの味」を外国でも味わってもらいたい、という気持ちで執筆致しました。すきやきに、天ぷら、カツ丼、白和えになめろう。日本人の多くが好きで、しかも外国人に喜ばれる、あたたかくてホッとできる家庭料理のレシピを英語で紹介しています。
元々は海外の友人宅で頂いた家庭料理の数々が忘れられなくて、それは味という意味だけではなく、家族の在り方とか、料理に込められた愛情とか。日本の家の味を海外の方に伝えたいなと思ったのがクラスの始まりでした。楽しいことも出会いもたくさん、でも初めての事や辛い事もいっぱいあって、最初一時期はよく泣いていたことも…。
今回こうして、クラスで教えてきた日本の家庭料理がレシピ本という形になって、とても嬉しく思います。でも何より嬉しかったのは、素晴らしいプロフェッショナルの人達と一緒にものづくりが出来たこと!!まだ駆け出しの私に、素晴らしい機会を下さった大木編集長、優しく的確にリードして下さった河合さん、私のつたない英語や日本語(笑)を本当に素晴らしい文章にして下さった横田さん。写真はELLE等でご活躍中の山谷学さん、スタイリングは岩崎牧子さんが担当して下さいました。元々ELLE a tableの特集記事で、お二人のページは大好きだったので、自分の本を一緒に作って下さって、申し訳ないやら嬉しいやら。本って、こんなにたくさん人によって作られてるんだって、改めて実感しました。デザイナーさん含め、とっても綺麗な本に仕上げて下さったので、是非見て頂けると嬉しいです。
撮影をしたのは妊娠8ヶ月位の頃、大きいお腹で、築地で買い物して…もう既に懐かしいなぁ。
オススメしたい方
海外ではイベントや旅行時のプレゼントとして、レシピ本を写真集代わりにプレゼントする習慣がありますので、皆様が海外旅行/留学/ホームステイ等にお出かけされる際のお土産、プレゼントにお使いいただけるのではないでしょうか。また、実用的な英語を使っていますので英語の勉強にもいいかもしれません。
それでも一番おすすめの使い方は、レシピを見ながら現地の方と一緒に料理をすることです!お互いに料理や文化を共有し、交流を深める事でぐっと仲良くなることができると思います。私も海外の方に料理を教え、逆に色々と教えてもらいながら相互理解を深めていくことが大好きです!
ぜひ、この一冊を携えて、日本食の素晴らしさを世界に広めていただければ幸いです。
販売場所
現時点でお買い求めできるのは、紀ノ国屋、丸善、ツタヤ書店、青山ブックセンター、Book 1stさん、等々などです。Amazon(英語版)(日本語版)でも購入も可能です。
海外に在住の方は、海外の紀ノ国屋書店、紀ノ国屋さんが運営されるウェブストア、あるいは海外販売会社さんで取り扱っています。海外Amazonでの販売にはもう少しかかる見込みです。
なお、ご参考までに外国人の方が食べたい!作ってみたい!と思っていらっしゃる日本料理ランキングTOP10をご紹介したいと思います。
(当料理教室Cooking with Mari来場者 1,000名調べ、2012-2014年)
- 寿司(巻寿司、にぎり寿司、ちらし寿司)及び刺身(当教室では握り寿司は指導しておりません)
- お好み焼き(特にオーストラリア人の方に人気です。一方で、もんじゃ焼やたこ焼きは残念ながら、あまり知られていません。大阪を旅行することで、たこ焼きを初めて食べて美味しかった!とおっしゃっている方もいますので、今後、お好み焼きのように世界で有名になっていくかもしれませんね。)
- 焼餃子(餃子は中国の物だと思っている日本人の方が多いと思いますが、中国では茹で餃子が一般的です。欧米圏の方にとっても、焼き餃子は日本のものだという認識が広くあるようです。)
- みそ汁(鰹節/昆布でしっかりお出汁を取った味噌汁は外国人の方には新鮮です。「今まで飲んできたパウダー出汁の味噌汁とは全然違う!」と感激される方が多くいらっしゃいます。日本(特に関東)はミネラルの少ない軟水なので出汁が出やすいのですが、海外では硬水が多く出汁が出にくいため、海外で出汁を取る場合には、旨味の濃い昆布を選び、かつ昆布/鰹節の量を多めに使うように気をつける必要があります)
- ラーメン(とんこつ味がダントツで人気。特に男性の方が中心です。なおラーメンの出汁を取るには十数時間かかりますし、ラーメン店の味は家庭料理の範疇を超えていますので、当料理教室での指導はしておりません)
- トンカツ(カツ丼やカツカレー含む)
- 天ぷら(天丼含む)
- うどん/そば
- すき焼き(特に神戸牛の名前はほとんどの外国人が知っており、高級肉として認知されている。逆に松坂牛やその他の銘柄は知られていない。和牛(wagyu)と言ってわかる方も少なくない)
- 鶏の唐揚げ
以上、「外国人が好きな日本食トップ10」でした。
また、その他で人気なのは以下のメニューです。
- 照り焼きチキン(アメリカではスーパーに照り焼きソースなどが出回っているなど一般的な料理すぎるため、日本でわざわざ食べたいという方は少ない)
- ウナギ(日本に何度か来た事があってよくご存知の方にとっては、日本人と同様ウナギはご馳走のようですね。なお当教室では教えていません。)
- 卵焼き(出汁巻きたまご含む)
- カレーライス
- 鉄板焼き
- おにぎり
- 焼き鳥
- 茶碗蒸し
以上、外国人の方が喜ぶ人気の料理をご紹介しましたが、逆に言いますと、上記の料理以外は殆ど知られておらず、私としては大変残念に思っています。
本来日本料理は、四季折々にそれぞれの地方の土地柄にあった多彩な美しさ/美味しさを持っていますので、これを世界の方々に広めて行くのが私のミッションだと思っています。ですから、お客様に信頼頂いて「おまかせ」で注文を頂く時は一層張り切って、海外の方がはじめは知らなかったけど、食べてみたら美味しい!と言ってもらえるような料理を教えています。「おまかせ」の中でも人気なのは以下です。
・南蛮漬け(鮭が人気)、南蛮焼き
・いももち
・カニクリームコロッケ
・酢の物
・鮭のちゃんちゃん焼き
・抹茶ケーキ/抹茶ロール
・大福
・メロンパン
・チーズケーキ風の豆腐で作ったマクロビケーキ
・自家製梅酒
毎日外国人の方と接していますが、意外な料理を”I love it!”といっていただけることも多く、新鮮な毎日です。
また、今では日本のスイーツも世界で知られており、団子や大福といった日本のスイーツがお好きで、リクエストして下さる方もいらっしゃいます。「豆が甘いなんて信じられない」と言って、あんこの味に慣れない方もいらっしゃいますので、その場合は、抹茶ロールを提供することもあります。
お客様のリクエストに合わせて100種類以上の家庭料理の中から選択して受講を頂いていますが、お客様の好きな食材や料理があればそれに合わせたメニュー構成を事前に相談しながら決める事になります。「おまかせ」で、と言って頂けるお客さんも多くいらっしゃいます。国籍/性別/年齢によっても好きな日本食の傾向はありますが、結局はお客様個人個人の好みがありますので、毎日、悩みながらメニューを考えています。今後も、日々試行錯誤しながら、外国人が喜ぶおもてなし日本料理を研究し、お客様に満足して頂けるよう努めていきたいと思っています。